ルートは優しい。それに格好いいし、ビールばかり飲んでるけど体は適度に締まってるし、と私の名前を呼ぶ声も心地よいし、へたれのフェリシアーノなんて仲間にしちゃうお馬鹿なところも可愛くていい。

とにかく私はルートが好きだ。
ただ1つ、ただ1つ不満を挙げてもいいと言われるなら、彼の口下手さ加減を私は指摘したい。恥ずかしがり屋で済ませられればいいが、これはそれの度を越えてると思う。フランシスみたいに口説き魔になれとは言わない。菊みたいに曖昧な表現ばっかりしろなんてもっと言わない。でもでも!いくら愛されてるってわかってるからと言っても、たまには言葉で表して欲しいのが女心ってもんじゃない!?


そのようなことを勢いに任せて目の前にいるルートにぶちまけた。
私の弾丸のように止めどなく放たれる言葉の波に驚いたのかワンテンポ遅れて、「、本田までと言わずともお前はもっと慎みというものをだな…」なんて真っ赤な顔をして言われたが、「煩い」と一蹴したら先程から「あー」だの「うー」だのと呻いている。流石の私ももう限界だ。我慢ならない。

「ルートは愛情までもエコなのね」
「は!?」
「ドイツがいくら環境活動が進んでるからって、地球に優しくしても人間にまでエコしちゃダメでしょう。でもルートは優しいものね。私はそういうところも好きよ?ごめんね、嫌味な女で。でもそんな私への愛情もエコ仕様なんでしょう?やーんルートってやっさしぃー」

そう笑顔で言ったが、心の中では「愛情までケチるなよ馬鹿!ムッツリスケベー!」と叫んでいた。声に出さなかっただけ褒めて欲しいが、如何せんそろそろ泣きそうだ。

「変なこと言って悪かったわ。今日はもう帰るね」

そう言って泣きそうになった顔を見せまいと言ってすぐに彼へ背を向けて歩き出したら、ふいに手を掴まれた。

、俺は…」
「何よっ!?私に文句があるならさっさと言いなさい!黙ってたらわからないじゃない。その前にこの手を放せ!っていうか、愛情までケチるなよ馬鹿!ムッツリスケベー!」」

彼の手を振り解こうとするが、そうすればするほど拘束が強くなっていく。いっそ痛いほどのその拘束に流石にぐったりしてしまって振りほどくのは止め、ルートと向き合うような形になる。あ。そういえば心の声が全部駄々漏れになっちゃった。

「落ち着いて聞け
「な、何よ」
「顔を上げてくれ」
「嫌」

やばい本気で涙が出そうだ。顔が上げられない。
「嫌。嫌だ」と言い続けていたら小さな溜息の後、ルートが腕を掴んでいなかった手で私の頬に触れた。反射的に顔を上げてしまう。

「俺がいつを嫌味だなど言った。そんな訳ないだろう。寧ろお前は優しすぎるぐらいだ。他の奴にまで愛想を振り撒かれる俺の身にもなってくれ」

突如として始まったルートの演説のような話し振りに私は驚いて動けなくなった。え、何?嫉妬しててくれたの?
どんどん緩みそうになっていく私の顔を見てか、ルートがごほん!と大きく咳払いをしてから「それにだな、」と話を続ける。

「俺があまり口に出さないのはだな…その、は、恥ずかしいんだ…!だが、不安にさせていたんだったらそれは俺が悪かった。すまないと思ってる。俺はだな、、お前の寝相が悪いところも、笑う時に笑窪が出来るところも、その声も体も全て、あのだな、あ、ああ

愛し…てる……」
そう顔を真っ赤にして言った彼が愛しくて可愛らしくて嬉しくてたまらなくなった私は、掴まれていた腕を引っ張ってよろけたルートを思い切り抱き寄せた。