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かくれんぼが上手なようにひっそりと私の家の隣に立っている本田さんの家が、時々周りの家よりも賑やかになる時がある。 それはお客さんが来る時だ。 別に夏に窓を開けていたからという訳でも、私の家の壁が紙みたいに薄いからという訳でもなく、時々、賑やかな声や沢山の人がいる空気が本田さんの家から漏れてくるのがわかる。ある日には笑い声が、ある日には悲鳴が、ある日には怒った声が。 最後のやつはガラスが割れるような音がその前に聞こえていたから、きっと怒っていたのは本田さんなんだろう。珍しい。私が自分の部屋から投げ捨てた算数の問題集(難しすぎてなかったことにしたかった)が本田さんちの庭の盆栽に直撃しても怒鳴らないで延々と正座でお説教するようなネチネチした人なのに。怒らせた人の顔を見てみたい。「おうしっと!」「わるいはないんだぞきく!!!」ってすっごい大きい声が聞こえた。きっと神経がない人か図太い人に違いない。 本田さんの家は日本じゃないみたいだ。主にお客さんが来る時に。 私とは髪の色も目の色もあと背も違うたくさんの人たち。うちのお父さんよりも頭二つくらい大きい人もいた。 髪の毛が綺麗なキラキラ金色であとムキムキマッチョの人と、茶色の髪でバ〜ってヤギみたいな変な声を出す人が私が一番知っているお客さんだ。テレビでしか観たことがなかったけど、イジンサンっていうんだろうか。 さっき言った人以外にも色々な髪や目の色の人、男の人と女の人が一人だったりまとめてだったり来るんだ。 私が本田さんの家で遊んでいる時に誰かが来た時は、私は本田さんが台所にお茶とお菓子を取りに行くのを見てから声を掛ける。 「本田さんお邪魔しました」 「おや、もうお帰りですか?皆さんに今お茶を出しますので、よかったらさんも一緒にいかがですか?」 「いいえ、お邪魔しちゃ悪いから」 「そうですか…ではこちらは持って帰ってお父さんとお母さんと一緒に食べて下さいね?」 こういうやり取りがよくある。 本田さんの家に勝手に入って庭でポチ君と遊んでも、縁側で昼寝をしていても本田さんは私に何も言われないけど、でもこれだけは私が決めたルールなのです。本田さんのお友達関係は邪魔をしない。 でも一度だけ台所からこっそり玄関に行く途中に金髪ムキムキの人と会っちゃったことがあって、初めてのことに困った私は変な声を出しながら靴も履かずに縁側から飛び出したことがあった。次の日に本田さんが可笑しそうに「ルートヴィッヒさんが…ルートヴィッヒさんの顔…!」と私の顔を見るなり爆笑したから、あのムキムキの人には悪いことをしたかもしれない。ごめんなさい、ムキムキの人。えーと、ルーヒさん? でもその後に本田さんが「「お前の家は小さい女の子が二人いるのか?」と友人が聞くので、今度はきちんと出てきてご挨拶なさいなさいな。それ以外の方も皆さんさんの話をしたらとても会いたがってるんですよ」と言ったので、おそれおおいながら、私も次に誰か来た時にはしっかりご挨拶をすることを約束しました。指きりしたから嘘ついたらピーマンの肉詰め4個口の中に突っ込まれるらしいよ?とんだ児童虐待だ! 「眉毛のすごいお兄さん、こんにちは!本田さんの隣の家のです!座敷お化けじゃなくて人間です!でもたまに女の子のお友達もお庭で一緒に遊んでいます!小学四年生です!今日の給食のカレーも美味しかったけど、本田さんのご飯は何でも美味しいです!あとその眉毛は何をつけているんですか!毛糸ですか!」 「おい本田、この失礼なガキが座敷わらしか」 「……いいえ、お隣のお宅のさんですよ」 |