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きっかけは多分些細なことだったのだろう。しかし、俺が目の前のこの小さなお姫様のご機嫌を損ねてしまったのは否定しようのない事実であった。 「…」 俺の呼び声に対してふんっ!と勢いよく顔を背けたは、ほんの数年前に見つかった資源量に乏しく、目につくものと言えば溢れんばかりの色とりどりの花と温暖な気候のみの小国だ。国である本人はその温暖たる国土を全く反映せず我侭放題な性格ではあるが、それもまだ小さいからであろう、国たる自覚が足りないからであろうと己に言い聞かせて今日まで保護(と言う名の相手)をしてきた。 が、この生意気さはなんだ!一頃のアルより酷いじゃねぇか! 「アーサーがぜんぶぜんぶわるいんだ!」 「何だよ!俺が何したって」 「だまれまゆげ!みかくおんち!おまえのりょうりまずいんだよ!ばーかばーか!」 「!?てめぇ!もういっぺん言ってみろ!」 「なんかいでもいうもん!アーサーなんて…アーサーなんてだいっきらいなんだから!」 「なっ」 流石に最後の一言には傷ついた。というかカチンときてしまった。こんなに気をかけて面倒も見てやってるのにその言葉はないだろう。大人げのない対応を取ってる気がするが、もうそんなことこの際知るもんか。我侭姫様を今日こそガッツリ懲らしめてやろうと意気込みながらを見ると、何故だか言った本人であるの方が驚いたような泣きそうな顔をしていた。いや、言われた俺の方がショックを受けてるんだが。 「きらいきらいきらい…うわーん!アーサーなんからいすきなんだからー!」 「なっ!?おい!ちょっと待てよ!」 俺の心を掴んだ肝心な部分を見事に噛みながら言い逃げした小さなお姫様を、俺は自分でもわかるほどに真っ赤な顔をして追いかけた。 |