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「ヴェストが困ってんぞ」 彼の言葉にぷぅと頬を膨らませてただけの反応をしたをギルベルトは軽く小突く。 「今回は何が原因だ」 「今回は、って随分彼が私を怒らせてるような言い草ね」 言葉の端々に刺々しさに苛々度が急上昇しながらも、ギルベルトは引き攣りそうな頬を何とか押さえ、妹分を宥めようと言葉を選ぶ。 この二人はいつもそうだ。互いが互いに思っていることを上手く言葉にし合わない。だからすれ違う。そしてそれが繰り返される内に拗れて自分たちでは収拾がつかなくなる。そこで毎回事態を収束させるために登場するのが、当事者たちの実の兄であり兄貴分であるギルベルトだった。 「ほら、喧嘩したなら喧嘩両成敗だ。違うなら違うでまずは話し合いでもしろよ」 「だって…」 「あーもう!」 煮えきらぬにとうとう業を煮やしたギルベルトが彼女の腕を引く。 あまりに勢いがよかったためか、ふいの出来事に対処出来なかったはよろけた。その拍子に抱きすくめて支えてでもやればいいのだろうが、それは自分のやることではないと彼は思い、行動にはしなかった。あくまでも自分は弟とを仲直りさせるためにいるのだ。優しさは弟が用意してやった方がいい。その方が早く収まるものも収まるだろう。そう思うからこその判断だった。 「痛っ!ちょっと、ギルベルト、」 「あーあーうっさい。いいからさっさと一緒にヴェストのとこ行くぞ」 「嫌だっ…!」 「…気まずいとか思うんだったら、暫くついててやるから。ほら、」 そう言った彼の言葉を聞いたことでやっと大人しくなったの手を溜息をつきながら引く。弟と若造の子守をするのも疲れる、そう思いながらも結局のところ今回だけとは言わず次回もそのまた次も彼らの痴話喧嘩の仲直りにしっかりと付き合うであろうギルベルトであった。 |